一本の映画を観ました。フランスの幼稚園における哲学の授業についてのドキュメンタリー映画です。
愛ってなに、自由ってどういうこと、大人はなんでもできるの、などなど先生が提示する様々なテーマについて幼稚園児らが考えを述べていきます。
先生は「なぜ」「理由は」という問いかけを繰り返します。問いを出しながら、子供たちに考えさせ、議論させます。最初の一年間は、おぼつかない歩みでしたが、二年目になると驚くほど子供は活発に議論し、成長します。子供たちは抽象的なことを話すのではなく自分が体験したことだけしか話せません。しかし、本質的なことを鋭く掴んでいることにはとても驚かされます。
先生は、子供から答えが幾つか出た要所要所の段階で他の子供たちに「ところで君は、それに賛成、反対」「それはなぜ」と問いを振っていきます。素朴ですが、ソクラテス的対話の原型であり、重要なポイントだと思います。
この映画を観てつくづくと、対話に力点を置き,皆が話を聞く態度を示すことを重視し、そこから発話者が笑われない否定されないことによる話しやすさの実現を目指すことが大切なんだなと、今更ながらにそう思わされました。
作者:A
先生